「なぜ、この人は約束を守れないんだろう?」
「どうして、私と誠実に向き合って大人の対話ができないの?」
「どうしたらこんな嘘を平気でつけるの?」
相手にとっては「軽い嘘」のつもりでも、それを受ける女性にとっては、重たい苦しみになることがあります。特に、最も安心できるはずの「身近な家族関係」における不誠実な態度は、私たちの心を深く傷つけます。
それでも、
「私が悪いのかな」と自分を責めてしまったり、
「いつかきっと分かってくれる」という淡い期待を抱き続けてしまう・・・。
今ある関係や自分の立場を壊したくない一心で、必死に崩れそうな壁を支え続けている女性は、本当にたくさんいらっしゃいます。
ただ、そのような現状維持を繰り返しても、根本的な問題は解決にはならず、多くの場合、関係はますます悪化していきます。そして、「もう耐えられない」となってから、完全に崩壊するところまで耐えてしまうのです。
本当は心の中で助けを求めているのですが、家族という隠れた場所で起こることは、問題が自分自身に深く食い込んでしまっているため、女性は一人で抱え込みやすいものです。また、常習化し歪んだ家庭内のコミュニケーションに憤りを覚えながらも、「どうすればいいのか分からない」ままに日々の忙しさの中で、うやむやにしてきてしまったのではないでしょうか。
スーパーのレジ打ちの親切な女性も、キャリアが順調に見える女性も、小さな子どもをあやす幸せそうな女性も、そして一見、仲の良い夫婦に見える女性さえも、心の中では家族との関係に問題を抱え、自分の気持ちを抑えたまま整理できずにいるものです。
誠実に向き合おうとしても避けられ、どれだけ真意を伝えても届かない関係は、やがて心が消耗され、自分という人間を壊していきます。最初は「軽い嘘」や「小さな約束違反」から始まったとしても、大人の対話ができない関係は、想像以上にストレスで、人生が振り回されていきます。
これは、自分と相手の問題を混同してしまう「境界線」の歪みが原因としてあります。
私はカウンセラーとして、こうした境界線の問題が「幼少期の母親との関係」に始まっていることを強く感じています。その心理的な背景と、自分自身を守る境界線の引き方についてお話していきたいと思います。
約束を守る意味と、二つの「安全」
約束を守る意味は、他者との間に「信頼関係」という安全な庭を築くためです。
ここで、人によって「安全」という意味がまったく違うということを知っておくと、なぜ大人でも約束を守れないのか、その理由が見えてきます。
世の中には、二つの「安全」が存在します。
一つは、人との約束を守ることで、お互いのつながりや信頼を確かなものにする「関係性の安全」です。
この安全は、「あなたと約束を守り、信頼関係を築くことで、いざという時にもお互いの身の安全を脅かされない」という、目に見えない契約のようなものです。この契約があるからこそ、私たちは社会の中で他者を信頼し、安心して生きていくことができます。
けれどももう一つ、これとは全く異なる安全が存在します。
それが、自分の心がこれ以上傷つかないために嘘や言い訳の殻に閉じこもる「自分を守るための安全(自己防衛)」です。
大人になっても約束を守れず、誠実な対話から逃げてしまう人は、後者の「これ以上傷つきたくない」という防衛的な安全を最優先に選んでいます。つまり、他者を信じることができないため、自分を守ることに必死で、安全な関係を築くことに恐怖があるのです。
ただ本来、約束の意義というのは、相手との関係だけにあるのではなく、むしろ、自分自身との関係にあるものなのです。ですから、どのような「信頼の土台」を自分の中に築いているのかが最も大切なことなんですね。
「自分は誠実で約束を守る人間である」という誇りは、私たち内に強い「自己信頼」を育みます。これは幼少期に誠実であったことでポジティブな関係、あるいはそれにより安心できた経験から築かれます。逆に、幼少期に自分に向けられた「疑い」は、その後自分への不信感となって「自信のなさ」として現れます。そして、心はこれ以上傷つかないための嘘や言い訳という盾を作る防衛反応が反射的に作動してしまいます。その結果、物事をうやむやにして逃げることで、自分を守ろうとしてしまうのです。
太古のインドが教えてくれる「言葉の魂」
私がカウンセリングややヴェーダ占星術のセッションでお伝えしている、太古のインドの教えの中に、こんな言葉があります。―-『言葉には絶対の力がある』と。
口から発せられた言葉は、それが何であれ現実化すると考えられていたのです。神話の中では、神々も、そして悪魔さえも、一度口にした言葉は必ず守りました。自分の言葉がもたらす報い(カルマ)を、必然のものとして引き受けていたのです。
それほどまでに、言葉には魂が宿ります。
けれども、現代の社会は自己主義や欲望、嘘に塗り固められてしまっており、誠実であろうとする人ほど傷つき、悲しい思いをする「規律が乱れた時代」になりました。
では、私たちはどこでその「誠実さ」を失ってしまうのか。これは、私たちの「子ども時代」と「母親の影響」にあります。
親の「正しさの押し付け」が、子どもに嘘をつかせる
人生の模範となるはずの親自身も、実は「外側の正解に自分を当てはめていれば安全だ」と、自分の誠実な心にフタをして生きていることが少なくありません。
その結果、子どもに対しても、自分の気持ちを大切にすることより「心を隠して、外側の正解(正しさ)に従い、合わせること」を善として子育てをしてきました。
特に「嘘」や「ごまかし」が反射的に出る人ほど、幼少期に親から「正しさ」を前面に向けられている場合があります。自分の気持ちを大切にされず、誤解されたまま悪い子だと言われて否定をされたり、心から寄り添って話を聞いてもらえなかった経験を持ちます。
すると、そのような子どもの心の中には、
・「どうせ、本当の気持ちを言っても、否定される」
・「本音を言えば怒られる」
・「自分は愛されていない」
といった恐怖が芽生えます。
これはどんなにこちらが誠実に話をしようとしても、それが重要な対話であるほど、相手は恐怖でパニックを起こしてしまうのです。彼らにとって「本音は隠すもの」であり、「見つかってはいけないもの」と隠す癖がついているのです。
大人になってから、“当たり前”に他の人間関係でも、このパターンを繰り返します。
これは深刻な、自己肯定感の欠損であり、幼い子どもが何気なく話す自分の気持ちを、ちゃんと受け止めてもらえる安全な環境で話せること、認められることが、いかに大切なことなのかを物語っています。
また、このような背景のある大人は、物事の優先順位を見極めることも苦手です。自分の気持ちに蓋をした状態で、他者が喜びそうなことや認めてくれそうなことを推測することに忙しく、本当の人の気持ちが分からないために、自分でも自分の気持ちが理解できていないので、何を優先したら良いのか分からないのです。
そして、チグハグな行動を取ってしまい、そこで人との関係がうまくいかずに、余計に自信を失っていくという悪循環が起こってしまうのです。
不誠実な人、嘘をつく人とどう付き合うか?
相手が自己防衛のために嘘をつく理由は、少しずつお分かりいただけたと思います。けれども、「じゃぁ、私はどうすればいいの?」という疑問が残りますよね。
大人の対話ができない相手に直球を投げても、あなたが消耗していくだけです。相手にとっては不誠実な態度や嘘は、幼少期から未だに混乱し続けている課題であり、それは本人の問題です。
あなたが大切にすべきは、あなた自身の心です。
女性は、相手の問題を背負い込みがちです。
ですが、家族であっても、その人の人生の課題は、その人のものです。私たちは本人が好きなだけ、満足するまで課題に取り組む自由を尊重することを学ばなければなりません。
これはとても勇気のいることです。
あるいは、時に「穏やかで円満な家庭」という私たちの理想を壊されることもあるでしょう。けれども、人生は訓練の場であり、学校のようなものです。魂のレベルでお互いが成長できるように尊重し合うこと。これも、本当の愛の選択です。女性として高い視点を持って生きましょう。
自分を守る、3つの境界線
では、どのように自分の心を守り、「境界線」を保てばいいのでしょうか。ぜひ、今日から以下の3つのことを意識してみてください。
①1つ目の境界線:相手のエネルギーに同調しない
嘘の嘘は不誠実な態度は、多くの場合が無意識であり、反射的なものです。
だからこそ、本人が一番自分のしていることに気づいていません。
ここであなたが追い詰めたり、正論をぶつけたりすれば、相手はその嘘も不誠実さも「あなたのせい」にするでしょう。これでは本末転倒です。
大切なことは、相手に「逃げ道」を作ってあげることなのです。
あなたが感情的に反応するのをやめれば、その嘘はすべて本人に返っていきます。
あなたがどれだけ我慢をしても耐えても、それは相手の不誠実さを助長するだけで終わります。
「ここから先は、私が自分を守るための境界線です」
と、毅然とした態度を取りましょう。
・相手が嘘をついている間は、一切対話に応じない
・相手の言葉に感情的に反応しない
・「その不誠実な行為は、私には通用しない」と態度で示す
相手のネガティブなエネルギーに同調せず、まずは自分自身のエネルギーを守ることから始めましょう。
②2つ目の境界線:北風と太陽大作戦!
これまで「正しさ」だけで育てられた人ほど、正論を言われると「自分を否定されている」と感じて防御に入ります。ですから、本人が心から安心しない限り、その防衛の殻(嘘)は破れません。
これは、童話『北風と太陽』の物語とまったく同じです。
どんなに必死に旅人のコートを脱がそうとしても、強い風が吹き付けれ吹き付けるほど、相手は余計に身を固くして防御を強めてしまいます。
そこで、まずは「これは、この人の問題」と完全に割り切っていくことです。
・意識のベクトルを相手ではなく、すべて「自分」に向ける
・あなたは輝く太陽のごとく、自分がご機嫌に在る状態を何より優先して守る
・相手がどれだけ嘘を重ねようが、コートを着込もうが、「私は私」でいる
相手がどうであれ、あなたはあなたで在り続けるだけでいいのです。
③3つ目の境界線:現実的な境界線
相手の心が塞がれば、同時に耳も塞がってしまいます。
どれだけ熱烈な手紙を相手のポストに投函しても、そもそも開封すらされていないことが問題なのです。これはあなたの「伝え方」の問題ではありません。
それならば、「やってくれない」「思いは届かないもの」という前提に立ち、自分の生活のタイムラインを相手から切り離すのです。
相手が動かないことで、あなたの時間や心、日々の生活、さらには自分が最も大切にしている「将来の夢」や「理想の人生」までが止まってしまえば、それはやがて健康さえ害してしまいます。約束を守れない相手をただ待つのは、もうやめましょう。
最初から「相手はやらないもの」として考え、あなたの都合で物事を先に決めていく。そうやって、自分自身の生活の軸を自分の手で整えていくのです。
お互いの生活が深く食い込んでいる以上、お金・情報・時間といった物理的な実害への不安はつきまといます。
だからこそ、あなた自身で心配な部分をしっかり把握し、物理的な領域をできるだけ整理し、分けておくこと。これは感情の波を超えて、精神の平穏を保つためにとても良いアプローチになります。
これは、心を閉ざす相手に、自分も心を閉ざして攻撃するためのものではありません。あなたが、あなた自身の境界線を大切にして生きるための「練習」だと思ってください。
すべての物事を、わざわざ「心と心で対応する」必要はないのです。
自分自身の限られたエネルギーを守り、上手に使うための訓練でもあります。
私たち女性は特に、感情のコントロールが人生の課題の一つとしてあります。
だからこそ、こうした理不尽で不誠実な人との関係性は、外側の雑音に振り回されず、内なる精神をどっしりと鍛え上げるための、とても良い「心の訓練」になってくれるのです。
母親が自分の心に誠実になることが、社会を豊かにする
嘘やごまかしで真実が濁り、不誠実にならざるを得ない人が生まれてしまうこの社会の根底に、私は「母親たちの心の枯渇」があると感じています。
これまでの時代、女性がいかに社会の中で肩身の狭い思いをし、恐怖と不安の中で、求められる役を演じてきたのか。
その中で、女性としての自らの尊厳や価値観を見失いながらも、必死に自分を守り、家族を守らなければ生きてこれなかった—。そんなお母さんたちの心の苦しみは、直接、子どもたちの心に受け継がれてきたのだと思います。
もし、母親自身が幼少期に、そのまた母親から無条件の愛、温かな抱擁を受け、母自身のユニークな個性を溢れさせながら、喜びと安心感に満ちていたのなら。
わざわざ子どもに「正しさ」を押し付け、本音にフタを強いる必要なんて、きっと無かったはずです。
子どもに当たってしまうその姿は、母自身の「恐怖」の現れであり、心の奥底に蓄積した傷なのだと思います。
もちろん、家庭において父親の存在や、父親からの「承認」と「守護」もとても大切です。
ただ、母親が直接的に子どもに与える心への影響はそれ以上に大きく、そのまま未来の社会へのあり方へと直結しています。
だからこそ、まずはあなたが「一人の女性」として、外側からのプレッシャーにさらされ、たくさん傷ついてきたことを、自分自身でそっと認めてあげていいのです。
母親という役割の前に、一人の女性であるあなたが、自分の心を何より大切にし、自らの個性の豊かさに愛を注ぎ、自信と喜びに溢れる生き方を見せること。
その姿勢こそが、子どもたちの心に一番の光を灯し、子どもたちを通じて、未来の社会に最も偉大な影響を与えていく確実な力となります。
もしあなたが今、身近な人の不誠実さに人生を振り回され、自分の境界線を見失いそうになっているのなら、躊躇わずにあなた自身の心をしっかりと守ってください。
そしてあなたには、美しい女性ならではの「本質的な強さ」があり、愛に溢れた尊い存在であることを自覚してくださいね。
家庭も、社会も女性の心が創り出しているのですから。
自信を持って、あなたの心の庭を美しく育んでいきましょう!
あなたという美しい庭に、心に豊かな果実を実らせる
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